2022/4/19

竹の傷について

竹は自然素材ですので、枝が当たったり色んな気象条件の中で

竹の表面に傷がつきます。

 

私は竹を切った後に、お湯で煮て油抜きをした状態で買ってくるので、

竹材屋さんが竹林から竹を切ってきてくれます。

 

竹材屋さんは、なるべく傷が少ない、竹の節と節の間が長いものを選んで切り出します。

それでも、一本の竹の中に一つも傷がないなんてことはほとんどありません。

 

竹工芸品を作るときには、なるべく傷が作品の中に入らないようにします。

 

でも、ただただ傷があるからという理由で竹を捨ててしまうのはなんか違うと思ってしまします。

 

竹は自然の恵み。

それを、私はいただいて作品をつくる。

なるべく捨てる部分を少なくできる限り使いたいという気持ちで作品作りをしています。

 

一つの工夫として私がしていることは、

一種類のヒゴから、いくつかの作品を作ることです。

まずは、一番長さが必要なものに、傷が全くないヒゴを使い、

次に傷があるヒゴの傷の部分だけ切ります。

そして、傷を取り除いて短くなったヒゴを使って2番目に長さが必要な作品をつくっていきます。

そうすると、かなり捨てる部分は少なくなります。

 

・コーヒードリッパー→ドリッパーホルダー→四ツ目編みコースター

・フィルタースタンド→箸置き

というように同じ幅と厚みが同じものから色んな作品ができていくようにしています。

 

 

なるべく作品に傷が入らないようにという工夫はしていますが、

率直な私の意見としては、傷が入っていたっていいじゃない!というのが持論です。

私はプラスチック製品を作っているわけじゃなくて、自然素材をつかったものづくりをしています。人にも一人ひとり個性があるように、竹にも一本一本違った個性を持っていて、

傷があるなんて当然のこと。作品の強度に関わる傷は取り除くべきだけど、

強度に関わらない傷はその子の個性としていかしてあげてもいいのじゃないかというのが本心です。

 

そして、これはただ私の価値観ですが、傷が入った作品って唯一無二な感じがして、

とても愛おしいんです。二度と同じものは出来上がらない感じがたまりません。

機械ではなく人の手でつくったものって、完全に全部が同じでないところがいいところだと思うし、無傷のピカピカのものが欲しいなら自然素材を使わなくてもいいんじゃないかと思うんです。

 

でも、私の今の状況として、自分で販売することができず、

販売は遊山さんをはじめとして、いろいろな方にお願いしなければ成り立たない状況です。

 

なので、個々になるべく差が出ないようにと心がけた作品作りをしています。

(でも実は、小さい傷のものはかわいそうで使ってしまっているので、傷がすこし入ったものが届くかもしれません)

 

でも、いつか個性たっぷりの傷入りシリーズなんかも販売できたらおもしろいなとおもいます。

 

ちょっと傷がある子にしようか、おっきな傷がある子にしようか、それともいっぱい傷があるこにしようかなんて。

どの子を持って帰ろうかとワクワクしてしまうような、そんな楽しみも増えるといいです。