2021/11/13

私にとっての ものづくり

私の中になくてはならないもの
と言っても過言ではないもの
それが「ものづくり」です。
 
学生時代までは、ものは買うもの。
お金さえ払えば、何でも買える。
仕事といえば会社につとめてお給料をもらうもの。
 
そんな考えだった。
 
しかし、社会にいざ出てみたら
ものづくりの世界に出会った。
 
無の状態から人の手でどんどん新しいものが出来上がっていく。
そして、出来上がったときの喜び。
そんなことを経験してしまったので、
私はすっかりものづくりの虜になってしまった。
 
その後、前職を辞めて、
将来的に続けていける仕事をと考えて竹工芸の道に入った。
 
その後、結婚して出産をした。
 
出産後はお母さん業に専念した。
日々のストレスのやり場の分からない日々だった。
 
2人目が生まれてもうすぐ1歳になるころだったと思う。
心の中にたまったもやもやをぶつけるみたいに
パンづくりにはまった。
簡単なものをしばらく作っていたけどしっくりこない。
結婚前に興味があって少しやってあきらめた刺し子の本を出してきて、
赤ちゃんのお昼寝中にやってみると、
夢中になって花ふきんをつくった。
24時間、○○ちゃんのお母さんだった私が、
一人の私という人間に戻ったような感覚だった。
 
それからは、私にとって刺し子がなくてはならないものとなった。
1分1秒でも自分自身に戻りたい。
そんな気持ちから、朝が苦手な私が早起きをしてチクチク。
お昼寝中にチクチク。
夫と子供とお出かけした時には、一瞬でも暇があればチクチク。
 
子育ては私の念願だったこと。
それでも現実は大変なことの方が多くて、
何度も逃げ出したいと思った。
 
そんな気持ちを和らげてくれたのが「ものづくり」だった。
 
今まで、ものづくりの世界にただただ惚れ込んでやっていると思っていたものが、
私にはものづくりはなくてはならないもの、自分を表現する場なんだと確信した。
 
もし、私がもやもやを解消してくれるのは竹だけだ!とか頑なに考えていたら、
もっともっと長い時間もやもやを解消されずにいただろうし、
ものづくりが好きという根本の部分に気づくことはできなかっただろう。
 
子育ては人生の中で最大級に追い詰められた状態だと思っている。
夜は眠れないし、世の中の常識なんか小さい子供には通用しないし、逃げたくても子供をおいて逃げられないし。
(もちろん、喜びはそれ以上にたくさんあるのだけれど)
そんな中で、自分の底の底の一番下にある感情に気づくことができた。
 
だから、私は竹に限定することなくものづくりがしたい。
刺し子もあり竹もあり、もしかしたら今後体の変化や環境の変化で竹ができなくなって他のものづくりをするかもしれない。仲間が増えて他の素材のものづくりがはじまるかもしれない。
 
そんな想いをこめて、人の手の中から生まれるものづくりという意味で
『てから工房』と名付けました。